今日は金曜日。
時刻は夜20時を回ったところだ。
仕事の疲れと、金曜夜特有の高揚感が僕を包み込む。
さて、これから寝るまでの時間をどのように過ごそうか?
仕事の続きをやるには疲れすぎているし、ブログを書き始めると深夜まで突入して貴重な土曜の朝が台無しになりそうだ。
かといってこれから飲みに出かけるのも億劫だし、何よりあまりお金を使いたくない。
そうだ、そういえば最近は映画を見ていなかったな。
夜中に一人でお菓子を買い込んでAmazon PrimeVideoで映画を見るのも悪くない。
それなら途中でコンビニに寄って、お酒とお菓子を買おうじゃないか。
しかしながら、優雅に酒を楽しめるほど僕の財布はホクホクじゃない。
でも確かに、映画館で¥1,500を払って一人で映画を観るよりは遥かに安上がりだろう。
それじゃあ今日は予算をその約半額、¥800に設定して、その予算内で最強の布陣をリクルートしようじゃあないか。
コンビニの中で待つお酒とお菓子たちには、今宵の最高の時間を提供してもらおうじゃあないか。
さあ早く、僕を楽しませるんだ!スチュワーデスがファーストクラスの客にキャビアをサービスするようにな!!
コンビニで映画のお供を探す。まずはお酒から
さて、自宅付近のセブンイレブンに到着した。
今見たい映画は特にないのだが、シリアス物や感動モノよりも、ゲラゲラと笑って楽しめるコメディーを観たい気分だ。
上映時間はだいたい2時間くらいだろうか。
それならお酒は2本だ。
コメディーを観ながら飲むにはワインや日本酒といったハイエイジなお酒ではダメだ。
甘くてアルコール度数の低い酒と、少し度数が高くてビターな味わいの2種類があると良いだろう。
まず、弱めのお酒は「ほろよい」の一択だ。
この手のお酒で一番惜しいのは「ほろよい」と相場が決まっている。
中でもぶどう味が今日の気分だ。
まずは優秀な人材を1名リクルートできた。
彼女は素晴らしい映画のプロローグにぴったりの甘くて優しい味わいだからな。
もう一名、「ほろよい」の後に残る甘さを引き締めてくれる経験豊富な人材が必要だ。
そうなれば、もはやハイボール業界からヘッドハンティングを狙うしかないだろう。
中でもトリス社のハイボールはさっぱりとした仕事ぶりで評価が高い。
よし、ここは少し奮発して「トリスハイボール先生」をリクルートだ。
パッケージから漂う安心感は、やはり幾多もの修羅場を乗り越えてきた経験から出るものか。
唐揚げ氏、焼き鳥氏、餃子氏、あらゆる著名人と抜群のコンビネーションを見せる仕事ぶりはまさに、アルコール界の首領(ドン)といったところか。
お酒に合うお菓子をチョイスしていく
さて、アルコールチームは先の2名で上手くバランスが取れていると思う。
あとはお菓子チームの採用だが、最適な人数は3名だろう。
各々の個性を最大限発揮しつつチーム内での調和を保てる人数、それが間違いなく3名であると理解するには、私の長年の経験(コンビニ通い)はあまりに十分すぎた。
まずは、映画という大きなプロジェクトを支える力強い実力者が必要だ。
長らくこの「映画」というプロジェクトに抜擢され続け、彼さえいれば上手くいく、とまでなを轟かせている人材。
それはスナック業界の「ポップコーン」を置いて他にいない。
中でもセブンイレブン社の「濃厚な塩バター風味のポップコーン」氏はスナック業界特有のサクサクとした仕事さばきに加え、チーム内をバターの香りで癒すというムードメーカーとしての役割も期待できる。
彼をプロジェクトリーダーとして、それ以外の人員をあと2名リクルートすることにしよう。
さて、ポップコーン氏がサクサクと仕事をさばいていくなら、パリパリとしたスパイシーなアクセントも必要だろう。
チーム内にはクセのある人物が一人は必要なのだ。
だが、今回私が目をつけているのはかなり危険な人材かもしれない。
スナック業界において確固たる地位を築いておきながら数年前に突然の現役引退宣言。
多くの業界人に見送られながらそのキャリアを退いたものの、数ヶ月前に電撃復活。
SNSでは多くの著名人が彼の名を叫び、日本全土に知れ渡ることとなった。
そう、「Mr.ピザポテト」だ。
「またすぐに引退するんじゃないのか?」
「チームに引き入れるには少しスパイスがすぎるのでは?」
様々な意見が出てきたが、私は彼を深く信頼している。
今では過去の素行を見直し、スナック業界の中でも下の段でひっそりと仕事をしている。
それでいて、一定の層にはいまだに根強いファンがいる。
その事実こそが彼の実力を雄弁に物語っている。
スポンサーとしてハリウッドの人気映画がバックについているようで、彼もそれを前面にアピールしようとしている。
さて、「ポップコーン氏」「Mr.ピザポテト」両名ともに、今回のお酒チームとの相性は抜群だ。
だが、「トリスハイボール先生」を上手くコントロールできる重厚な味わいの人材が欠けていることを私は懸念していた。
サクサク、パリパリと仕事をこなしているだけでは、経験豊富なトリスハイボール先生を上手く活かすことができない。
そういった人材には、やはり秘書のようなサポーターが必要なのだ。
そう考えた私の脳裏に、昔から信頼を置いている人材の姿が浮かんだ。
「チョコレート業界の赤い彗星」と言われ、長らくこの業界に君臨している人材がいる。
ハイボールに合うのは、彼女しかいない。
すらりと伸びた長い足、甘くとろけるようなそのマスク、そして何より彼女は、持ちやすく扱いやすく振る舞う配慮を忘れていない。
チョコレート業界きっての美人秘書、「ポッキーさん」をリクルートしよう。
圧倒的な人気に裏打ちされたその仕事ぶりと、ビターな味わいのハイボール先生を手なずける妖艶で美しい立ち姿。
彼女以上の適役はいないだろう。
さあ、始めようか!!
さて、本社に戻った私は早速チームの顔合わせ会を行うことにした。
ふつくしい……。
我ながら、今回のチームの美しさにため息がでる。
今回採用の予算として承認が降りていたのは¥800だ。
それではそれぞれの採用コストを見ていこう。
- ほろよい ぶどう味:¥152
- トリスハイボール:¥173
- ポップコーン:¥108
- ピザポテト:¥184
- ポッキー:¥162
合計:¥779
予算通りだ。
途中、雑務担当として「ブラックサンダー君」を採用するか迷ったが、今回は予算の関係で見送ることにした。
パソコンでAmazon PrimeVideoを開く。
今日はこの「ソーセージ・パーティー」という作品を楽しむことにしよう。
タイトルと表紙の絵から滲み出る、如何ともしがたい感覚に、小学生の時のような高揚感を覚える。
なぜソーセージなのか?
パンの恋人「ブレンダ」と“合体❤︎”するとはどういう意味なのか?
そしてなぜ、表紙のソーセージは元気よく反り返っているのか?
これから始まるプロジェクトは謎に満ちている。
だがなぜか、小学生のような高揚感と中学生のような興奮を覚えている自分がいる。
このプロジェクトの結末を期待して、いろんな想像が膨らむ。
さあ、チームのみんな!
見果てぬ夢を目指してこのプロジェクトに挑もうじゃないか!
「ソーセージ・パーティー」の結末を一緒に見ようじゃないか!
最高のチームと最高のプロジェクトに臨む。
これほど私を興奮させるものはない。
さあ、始めよう!!
(結果、期待通りのクソ下ネタ映画でした。)
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